エシカルコラムでは、長野県内外でエシカル消費の普及等に取り組む方々をご紹介し、エシカル消費への思いや最新情報を発信します。
今回は、長野県からの委託を受けた長野県立大学の学生が、下伊那郡喬木村で江戸時代から伝わる和傘「阿島傘」の制作・販売を行い、伝統工芸品を次世代へつなぐ活動を行っている阿島傘一凛さんにお話しを伺いました。
〇阿島傘一凛ならではの特徴を教えてください。
阿島傘一凛は、長野県喬木村に江戸時代から伝わる和傘「阿島傘」の製作・販売を行っています。阿島傘は、竹や和紙などの自然素材から作られる伝統工芸品です。WEBでは好みに合わせたセミオーダーの傘を販売するほか、修理にも対応しています。
また、製作実演やワークショップ、イベント展示などを通じて、阿島傘を次の世代へつなぐ活動にも力を入れています。
〇これまでの活動を教えてください。
阿島傘の材料になる竹は成長が早く、放置竹林の問題がありますが、阿島傘で竹を使うことで、一つの環境問題への取り組みにもなります。また、阿島傘は石油由来のプラスチック等をほとんど使わない非常に環境に優しい工芸品です。当社で作った傘については、破れ等の修理にも対応し、購入後も愛着を持って長く使い続けられるよう取り組んでいます。実際、張り替えや手入れを行いながら10年ほど愛用しているお客様もおり、私自身も自作の傘を5年ほど使い続けています。
阿島傘は自然素材で作られ、壊れても手入れしながら大切に使い続けることができます。このように1つのものを長く使う消費活動そのものが、ものや環境への「思いやり」を持ったエシカルな取り組みだと考えます。

〇特に注力していることはありますか?
阿島傘制作の実演やワークショップを通じた阿島傘の普及・継承活動に注力しています。現在、阿島傘は担い手不足という大きな課題を抱えていますが、阿島傘を残すことは、地域の暮らしや風習といった「地域の価値観」を残すことにもつながります。そのため、子どもたちへの体験活動などを通じて阿島傘を知る機会をつくっています。
ただ展示を見るだけでなく、実際に作る体験型ワークショップにすることで、より深く阿島傘の魅力や背景が伝わります。こうした体験を通して子どもたちに阿島傘を身近に感じてもらうことが、将来にわたって阿島傘を残していくための第一歩になると考えています。
〇活動を通して伝えたいことを教えてください。
活動を通して、日本や地域に古くからあるものの価値を伝えていきたいと考えています。海外の優れた製品が高く評価されることがありますが、会社員時代に海外を訪れた際、最も魅力的に映ったのはその国に昔から伝わる独自の文化でした。
日本の各地に残る伝統や考え方にも、今見ても勉強になることが数多く存在します。阿島傘も単なる道具ではなく、地域の食文化や風習、自然環境と深く繋がっています。だからこそ、阿島傘をはじめ地域に受け継がれてきた歴史や文化、生活の知恵を大切にし、その本質的な価値を多くの人に伝えていきたいです。
〇今後の展望があれば教えてください。
「阿島傘を残すこと」です。魅力や関心があっても、職人として「食べていけない」という不安が、なり手不足の大きな理由になっています。だからこそ、自分自身が「阿島傘で食べていける」ことを証明し、一緒に活動できる仲間を増やしたいと考えています。
阿島傘を次の世代へつなぐことは、傘そのものだけでなく、そこに根付く地域の文化や伝統を守り残すことにもつながっていきます。
〇エシカル消費とはどのようなものだと思いますか?
私にとってのエシカルとは「大事にすること」です。地球を大事に、ものを大事に、文化を大事に、地元を大事にすることだと考えています。阿島傘は自然素材を使い、修理しながら長く愛用できます。また阿島傘を残すことは、地域で培われた技術や文化を残すことでもあります。
商品そのものだけでなく、その背景にある自然や地域、文化にまで思いを巡らせ、大切にすることこそがエシカル消費だと感じています。
〇阿島傘一凛が考える長野県らしいエシカル消費とは何ですか?
長野県らしいエシカルとは、地域のものや人を大切にすることだと考えています。阿島傘では県内産の和紙にこだわり、傘骨に使う竹も職人と協力して竹林から切り出して活用する試みを行っています。
こうした取り組みの中で、地域の方々が声をかけてくれたり一緒に動いてくれたりすることに、温かい「思いやり」を感じます。地域の資源を活かし、人との繋がりを大切にすることが長野県らしいエシカル消費だと感じます。
〇エシカル消費を知っている人にこれからどんなことを求めたいですか?
「傘を1本買って、実際に使い、周りにその良さを広めてほしい」と考えています。実際に使うことで初めて分かる良さがあり、使っている姿を見せることも阿島傘を知ってもらうきっかけになります。
現代の傘は軽量化が進み、便利さだけでは選ばれにくい面もあります。しかし、「自然に優しい」「地元のもの」といった背景にある価値を知り、実際に選び、使い、周囲へ伝えていく行動が大切だと感じています。

執筆 長野県立大学グローバルマネジメント学部3年 坂本 直樹さん
| お名前 | 阿島傘一凛さん |
|---|---|
| 活動歴 | 2年 |
| 活動概要 | 〒395-1100 長野県下伊那郡喬木村2209-2 TEL:0265-48-6832 URL:https://ajimagasa-ichirin.myshopify.com/ |